想いがカタチになるまで10年以上かかりました。
こんなものがあったらいいなぁというイメージから始まり、いろいろな形の試作づくりを経て、ようやく納得のいく形、それも複数の要望を同時に叶えるパンツができました。
懐かしい感じがする、日本の木綿でパンツをつくりたい
肌にやさしいパンツを日本の国産木綿で作れないか?それが最初の想いです。2014年のことでした。日本の国産木綿(私が好むのは主に「文」という生地です)はとにかく肌触りが好きで、なんだか懐かしい感じがするんです。そして何より染まりやすく、藍染めとの相性が良い。
ゴールは、今あるパンツの中間にあるのかもしれない
当時からパンツと言えばニット地(編物)を使っているものが主流で、織物のパンツと言えばトランクスくらいでしたね。私は藍染めで自分用の下着を染めていましたけど、それはやはりニット地のものです。
パンツという用途から、運動機能面で伸び縮みするニットの方が適していることは分かりました。逆に織物は伸び縮みしないが為にゆったりとした設計にせざるを得ないことも理解できました。
トランクスはゆったりしているのはいいんだけれど、布の継ぎ目がセンターにあり、少し落ち着かないんですよね。かと言って主流のニット地パンツだとどうしても締め付け感や蒸れやすいなどの問題が出てきてしまいます。
両方のデメリットを無くして、良いところだけを残したパンツはできないか?それはちょうど中間を目指すことなのかもしれない。
着物設計図の無駄のなさに見る、日本の文化や感性を取り入れないわけにはいかない
その頃、新聞の記事で見た、日本の着物の裁断図に感銘を受けたことも大きく影響しています。着物の裁断は、織物工場で織り上がる反物(幅が38cm前後、長さが12m程度の日本ならではの織物)を余すところなくきれいに使い切る裁断なんです。
日本では大切な布地を少しも無駄にすることのないよう、直線裁断で着物を作るという文化があったんですね。洋裁のように身体の曲線に合わせる裁断ではなく、布に合わせる直線裁断。これにより着物のシルエットは世界でも独特の美を持つものとなっています。
私はぜひ、この文化(布を無駄にしない考え方)を裁断設計に取り入れたいと思いました。だって、いつもハギレが出てしまう洋裁では、もったいなくて。それが理由で服作りの最初の一歩が重いことはよくありますので。私の中にもやはり日本の感性があるようです。
ふんどしパンツという製品にはすごく親近感を感じた。がしかし
しばらくして、時代はふんどしパンツなるものに光が当たるようになりました。火がついたのは2020年より少し前くらいだったでしょうか。
ふんどしパンツは締め付け感が無いという面が最大のウリで、日本の伝統的下着であったことも手伝って、話題性もあり、特に女性の間で一定のシェアを築いているようです。
ふんどしパンツの流行を見て私はとても親近感を感じました。自分が取り組んでいることの答えにとても近いような気がする。これなら織り地で作るものだし、トランクスと違ってセンターに縫い目がない一枚仕立てだから、もしかしたら両方のデメリットを解決しているのかもしれないと思い、早速試作してみました。
しばらく履いてみて思ったことは、布面積が少ないので解放的なのは良いけれど、少し落ち着かない感じがありました。また、デザイン面でも、少し恥ずかしいかなと。下着なので滅多なことはありませんが、仮にどこかの銭湯には行きづらいかなと思いました。それと、小学生くらいのキッズが履くことを想定したらやはりデザインが過激かもしれません。
なので、そう言ったデザイン面での抵抗感も減らしていかないと、幅広い人がとっつきやすいものにはならないだろうなと考えました。
服づくりは工作的だ。という目から鱗の落ちたメッセージと出会って
それからは、ふんどしパンツをベースに、布を付け足す方向で、いろいろ試行錯誤を重ねました。しかし、縫製上の制約(機材不足)が障害になったり、使い勝手がイマイチなど、納得のいく設計には至らず、足踏みをしている状態が何年も続きました。
そんな中、早川ユミさんという方が書いた裁縫の本に出会いました。昨年(2025年)のことです。その中のもんぺの作り方が参考になったとともに、早川ユミさんがその本の中で述べられていた「服づくりというのはもっと工作的でいいんだ」というメッセージ。
教科書通りに作らなくても、工作のように自由に作ったらいいんだ。というメッセージを受け取り、それからは今までとは少し違う世界が見えるようになった気がします。
和裁の本から得た「袋縫い」という肌あたりの良い縫い目を使い、工作的に布をつないでみる
動きやすさ
サイズ問題
耐久性
デザイン 日本的であること 前5枚 タグ コスト
自分で作れる 未来の定番であるように
アレンジ許容度 誰かが改良できるように
藍染め工房たであい