ここでは日本で江戸時代の中頃から明治時代まで盛んにおこなわれていた伝統的な藍染めについてご紹介します。然び藍の藍染めもこの方法です。
使用する材料
使用する材料は主に以下の4つ、これと天然水があれば藍染めはできます。
- すくも→すくもの作り方(別ウインドウ)
- 灰汁
- ふすま
- 貝灰(ごく少量、使用しないこともある)
藍が染め付く原理
藍草の中の染料成分の素(無色)→刈り取りにより酸化して藍色の成分となる(→日本における藍染めではそれを積み上げ、水を打ち発酵させ堆肥上にすることで、藍色の成分を濃縮して、保存および運搬しやすくします。)
この藍色の成分は水に溶けないため、ただ甕に入れるだけでは、布にまったく染まりません。水に溶ける性質に変えてあげます。
それが「藍建て」と呼ばれる日本古来から続く技法です。
水に溶けた状態では一旦黄色になっていますが、甕から引き上げ空気に触れることによって酸化し藍色に戻ります。こうして染色が完了します。
染色の技法(藍建て)
先ほどの濃縮された藍色の成分である藍染料=“すくも”を甕に入れ、灰汁と練り合わせ、加温することにより、微生物の活動を促し、藍色の成分の状態を変えてあげます。
作業工程(染色)
- 布の事前処理
- 甕に浸す
- 洗う
- 干す
- 2~4の繰り返し*通常6回、濃色で10回以上
- 仕上げ洗い(さびあいの特徴は、天然水による徹底した仕上げ洗い)
- 干す(日によく当てる)
- 灰汁抜き
- 干す(完全に乾かす)
- 室内の風通しの良い暗所で干す(1~2週間)
- 再度の灰汁抜き
- 干して箪笥にしまう(半年程度寝かせる)
藍染めされた布の特性、取り扱い
- 生地(繊維)が丈夫になる、しっかりする
- 紫外線を防ぐ
- 保温性が高まる
- 虫が寄らなくなる
- 抗菌作用がある
- 色落ちはしても色移りはしないので、他のものと問題なく一緒に洗濯できる
- 灰汁が出るので2,3か月に一回は使わなくても洗う
- 洗うほどに雑味が取れ、色が冴えていく
- 完全に色素が定着するまでには半年はかかる。数年箪笥に寝かせるとなお良い
- 日に干すのが良いが、完全に乾いてからも干し続けるのは退色の一因になるので控える
- 陰干しでももちろん良いが、風通しのよい屋外の日陰に干すこと
使用済み染液の処理方法
伝統製法の藍染めのすごいところは、廃液や廃棄物が出ないということ。すべて畑に返すのが習わし。昔は当たり前だったことが現代においては大変価値を持つ。循環型染色技法。
明治以降の化学的藍染めとの違い
本来微生物の働きによって還元発酵させていたところを、薬品類を使用し還元させている。また、染料そのものも化学合成されたものを使用している場合がほとんど。
まとめ
伝統的な藍染めというのは、大変シンプルな技術ではあるが、非常に手間のかかる手法でもある。それでもなぜ楽な方法(化学的藍染め)を取らないのか、それは肌にとって、環境にとって望むものが昔ながらの手法にあるから。ということに尽きる。